大学受験kawaiラボの河井です。やっと30 ºCを下回る日が増えてきました。まだ普通に残暑なのですが,このぐらいでも秋になった感じがしてしまいますね。いやいや,まだまだビールが美味しいんだから夏ですよ,っていうのが本当なのかもしれません笑

さて,今回はまもなく文理選択を向かえる高1についてのお話です。文理選択は大きな問題で,この選択を以降で覆すことになるとそれはそれは大変な事態ではあるわけです。その前に一度立ち止まって考えてもらえればいいかと思います。

「文理選択は数学の出来で決めるもの」という風説について

よく「数学ができないから文系にしろ」という進路指導がなされるとはよく聞く話です。はたして,本当にそれでいいのか?というところと,数学に心を揺らされすぎないということを考えていきたいと思うわけです。

さて,理系なら数学ができたほうがいい,はまずまず真であると言って良いでしょう。では,数学がさほど得意でなかったら理系は無理だ,というのは真なのか?ということです。何故か数学が理系の必須の教養だ,というぐらいに言われているわけですが,実のところ,僕の研究者生活で微積を使ったのは電気化学の特許に関与した1件のみなのでした…。もちろん,分子構造予想などの計算には数学が使われていますし,その勉強の時には数学を利用していたこともあるのですが,実際,コンピュータに計算させるとなると,自分で計算しないので,僕のいた分野だとこういうことも起きうるわけです。数学ができないと理系の全ての分野ができない,という言い方に懐疑的なのはこういう理由によるわけです。(もちろん,理論物理など数学ができないとどうしようもない分野もありますよ!)

数学が苦手な医学部生に聞いたことがあります。入った時と教養の1年目については数学で大変苦労したけど,以降は数学は全く関らず,知識を蓄積する勉強で,そこからは取り組みやすかった,という話です。逆に数学物理で押し切る,暗記嫌いのタイプの方が医学部の後半や国家試験で苦労する,という話も聞きます。

ですので,一口に理系に行きたい,と言っても理系でどういったことに携わりたいかで随分と事情が違うわけです。その辺を考えずに数学ができるから,できないから,という議論をすること自体に意味がないとは思いませんか?

文系選択しようとしている人へー英国社は好きですか?

さて,将来的な専門性のこともさることながら,選択したら系統特有の勉強が付きまとうのが文理とも同じことではあります。数学できないし…,といって文系選択した人が思っている以上に苦労するのが社会科ですね。社会科の知識の蓄積が思ったより苦手,英語のイディオムや古典の単語なども知識の蓄積です。こういったところから逃れられないのが文系です。地域や学科によっては日本史か世界史がないと受験できない,といったケースもあり,社会よりは数学では受けられない学校が多発する,といったこともあるわけです。

つまり,数学ができてないから文系,と言われて漠然と文系を選んだら,より苦手なものが目の前に立ちはだかる,ということが起こりうるわけです。英国数の私立文系でない限り,社会科から逃れる方法はゼロです。社会科はともかく,英国の知識勝負,そしてそこが欠けている人から脱落する仕組みからは決して逃れることはできません。

理系選択しようとしている人へー数学「か」理科は好きですか?

一方,理系の人にとって,数学も理科も好き,というのが一番望ましいですし,英国社(国社は共テだけですが)の知識の蓄積もできてほしいのは山々ですが,まずは数学「か」理科のどちらかが好きで,しっかりと押せる状態であってほしいと思います。英国社はどちらかといえば知識不足だと脱落するタイプのテストだと考えていますが,点差が出る数学理科はやり込み度で随分と差がつきます。数学が得意だと一気に物事が動いてしまう,というのもそういった理由によるでしょう。僕自身,正直なところ,高校時代は数学と化学におんぶに抱っこ,後は大したことない(むしろ劣等生側)のまま,大学生になっているので,強みが強みになるときというのは1番よく知っている側だと考えています。この仕事をしてからも,結構な人数の人がその強みを活かして進路を勝ち取っていった姿を見ています。

数学に苦労している人でも,理科は頑張り方次第で大きな成果を得ることができる科目群です。どうしても世間的に「英数の勉強優先,理社は最後でいい」という風潮があるためか,理系に対しても理科の勉強をさせたがらない指導が結構多く聞かれます。理科がしっかりすれば,理系数学だと微積,複素数平面,ベクトル,確率をしっかりさせると随分状況が変えられるのに,も関らずです。せっかく理科で周りが出遅れてくれているのですから,理科を逆転の手にしないのは勿体無いと思いますよ。→「理系の理科(化学・物理・生物)を大学受験の勝負手にする!ー原理原則知識の掌握と問題解決力の養成」

「数学だけ」で文理を決めないために,今から手を打っておきませんか?

さて,数学が,ということだけで進路を決める問題点についてお話ししてきましたが,国公立だと共通テストと多くの場合で文系でも2次試験に数学が必要となりますし,私立でも数学と社会の選択の余地があります。また,理系でも数学を足を引っ張りすぎない,まで持ち込めば十分に頑張れることもあることはすでに述べたとおりです。数学と上手に付き合うことが自分の進路選択の自由度の担保になるのです。

高1のこの時期は絶対値の場合分け,2次関数の文字定数の取り扱いと場合分け,2次方程式の解の配置や2次不等式の問題といったあたりで数学に対する自信のぐらつきやこれまでとの違いで苦しむ時期でもあります。その時期の文理選択であるが故に,数学に文理選択の鍵を握られてしまっているといっても過言ではないでしょう。

そういったところをカバーし,数学「だけに」進路選択や勉強の設計のバランスの鍵を握られないためにも,数学に苦戦する兆候を感じたところで専門の力を利用してほしいと思います。大学受験kawaiラボでは数学や理科については特に高い専門性をもっていますし,全体バランスに対する考え方やフォローアップにも取り組んでいます。すぐの通塾,というだけでなく,進路のこと,文理選択のこと,勉強のバランス,一度お話しさせていただけると幸いです。→お問い合わせはこちらから

好きで選ぶと嫌いを除くの話

最後に,「やりたいことをしよう」というお話についてです。僕もこれに対して異論はもちろんないわけですが,やりたいことがそんなにすぐに決まるわけない!というのは往々にしてあります。でも文理選択は迫っているし…,という事情もあります。そういったときに「絶対にやりたくないこと」を削っていく方法もあります。大きな枠組みでそこまで絞ってあれば,選択肢もある程度の範囲に収まっていますし,受験科目的にも大きな変更は必要ないことが多いです。この方法もある程度有効に使えると思いますよ。

僕自身も自分の進路選択,職業選択,そういったところはやりたいことからスタートした,というよりは「できることをやる」ことからスタートしている部分があります。やりたいことは全部転けてきた,最後に残ったのができることを提供する今の仕事,というところがあります。ポスドク時代に本格的に職業として始めて,思っていた以上に性に合っていたようです。没理想の極み,と言われればそれまでですが,できることをやることで生活の糧としての業にできる部分は少なからずある,ということを申し添えておきます。