人生を変えるために塾を探す人は少ないけども,そこでの出会い,変化が人に変化をもたらすことはいっぱいある。明らかに変わった!という子もいれば,非常にナチュラルな変化なので,本人さえ自然だと思っていることもある(思い返せば…的な変化ですね)。今日はその中でも劇的すぎる変化を今尚続けている子の話を。

その彼は卓球がとても強く,なんかの大会で優勝したりするくらい,なんなら卓球だけで大学に行けるくらいだった。でもスポーツで大学に行くと,やはり故障とかした時に在学し続けにくいらしい。それで,自力での大学進学を目指した勉強に切り替えることになった。

彼は中堅どころの高校に行ってたのだけど,「どうやって入ったの?」と言いたくなるくらいの惨状だった。そりゃあ卓球漬けでクラブチームまでやってればそりゃそうか,とも思うけど。(後で聞いたらその高校に入ったことも周りは驚くくらいだったらしい。)高校入試偏差値50は大学受験偏差値40と同じ,とか言われたりするけど,英数とももう10ずつ少ない感じだった。

ただ,生物だけはすこぶる相性が良かったのか,非常に楽しそうにやっていた。生物ともう1科目とか,生物のみの受験とかあるのも知ってたので,「生物,死ぬ気でやって偏差値60にしろよ,そうしたら自己推薦文とか考えてやろう」と煽ってみたのだった。1科目で面接付きはちょっと厳しいかも,と思いつつ,これで引っ張れば生物数学の2科でなんとかなれば,という気持ちであった(なお,英語は中1〜2レベルからやり直さなければならず,絶望的なので事実上放棄)。

どうなることやら,と思っていたらあれよあれよと生物だけは成績が上がり,生物だけは国公立上位クラスと競っていけるくらいまで育った。覚えるためなら整理ノートを10回でもやり,ワークを解き続け,おかげで他の科目のせいで留年しかけるくらいやってた。もはや執念。その気合いに免じて,ヒアリングの末,99%清書以外僕が書いたと言って過言でない自己推薦文とともに出願した。

生物のテストはできたのであろう,なんとその大学の1次試験を突破したのだ。滑り止めの生物数学2科は箸にも棒にもかからなかったのに。そこでサイエンスとしての受け答えを教え,何があっても開き直って,力が足りないと言われたら「気合いで埋めます!」と答えろ,と言い含め,元気よく出陣させた。

面接でいろいろやり取りして,「この自己推薦文,自分で書いてないやろ?笑」と突っ込まれたらしい。そのとき彼は,「塾で河井先生という方に書いてもらいました!そちらの先生とは同期とのことです!」と開き直ったらしい。こりゃあ落ちるよな(苦笑)…。

ところが,合格!

生物の偏差値=英語の偏差値+数学の偏差値,のような彼で留年も危惧されたのですが,なんだかんだいって生物研究に精を出しています。中学生より英語ができなかった彼が,英語の論文を読みながら研究するようになるなんて…,おじさん泣いちゃうぞ,みたいな感じです。論文も一流誌に掲載されるかも,とのことですし,大学院進学も勧められるほどになっていると聞いています。

こんな風に人生を変えることもある大学受験への道,全力で取り組むのは悪くないと思いませんか?