偏差値は本当に客観的指標になりうるのかーそもそも学力の客観性って…?
今日は、大学受験kawaiラボの河井です。さっきの営業記事と連投じゃない!って突っ込む人、それは僕が宣伝をサボりにサボっていたという証なので、お口チャックですよ…苦笑(基本的に宣伝は苦手)
さて、今日はちょっと別件でやり取りしていた内容にインスパイアされましたので、学力の客観性についてああだこうだと言ってみようと思います。その中で偏差値とか合格可能性とかその辺のこともちょっと触れることになると思います。
まず学力の客観性について、問題集の問題番号でできたかできてないかをつけるというのはセルフチェックとしては基本的な手法かと思います。が、これが客観性があるかどうか、となると、反復で問題を覚えてしまっていることもあるので、○がつくようになった=できるようになったとは必ずしも言いづらいことになってしまいます。
学校のテストについてはどうでしょう?単元の内容チェックとミスの発生についてはチェックできるでしょうし、校内という枠内で少なくとも選択科目の影響が少ないうちはそれなりの指標として、役に立たないわけではないですが、例えば全国の位置を示す訳ではないですし、短期記憶の要素や全教科均等の考え方が合否予想にそこまで整合性がとれる訳ではありません。指定校推薦の件であれば全国での立ち位置ではなく校内での立ち位置ですからそれでいいのですが、一般入試のことを考えるとそういうわけにはいきません。
ではそこで模試なら…!となるのですが、主にベネッセ、河合塾(全統模試)、駿台模試があって(Z会や東進もありますが)とありますが、そもそもこれらの模試を単純に並べてはいけないところから知られていません。各々の模試の受験者層によって評価に違いが生じてしまうためです。平均点や分布の違いを調整しているのが偏差値ではありますが、母集団の違いを補正している訳ではありません。母集団がほぼ同一とみなしているときのみ、追跡の意味が生じるわけです。つまり、春は全統模試で秋に駿台模試を受けた、だとか、同じ業者の模試でもマーク模試と記述模試での差異も生じます。そういった観点から高2までの1つの業者模試と、高3では記述模試とマーク模試の双方を揃えて見ることが少なくとも必要です。
さらに志望校の合否について、判定が出ればいいのか、というとそうは考えづらいと思うわけです。これが僕が「模試の解像度」(これ、誰かが思いついてくれた表現かもしれません。著作権主張はご勘弁を!)と言っているところになります。模試の狙いとする難易度の近辺についてよく見える、という考え方です。例えばベネッセや全統模試は比較的オーソドックスな難易度で構成されていますし、一方、駿台はかなり重い問題を出す傾向があります。駿台模試の方が受験者そうが高めになっているのも要因かもしれません。そうなると、例えば進研模試で80に迫るような偏差値を出したとして、京大や東大の問題に手が届くかというと保証はならない(チャレンジする基礎はあると言えますが)わけですし、医学部に向けて共通テストや地方大の問題を揃える力はそこそこ担保できるかな、と見られます。一方で駿台模試であれば重い問題に対して対応する力で抜け出せるかがよく見えるわけですので、ここで高い評価を得ると京大や東大の問題を考えられそうですね、となるわけです。
じゃあ駿台模試さえ受けておけば大は小を兼ねる!となるのか?というとそういう訳でもないのです。目指す大学が求める学力、そこに必要とする学力に合わせた力が1番よくわからないといけない。オーソドックスな問題で高得点を求められているような大学もある、高難易度でじっくり考えて抜け出せる人材を求める大学もある、その要求を考慮せずに偏差値だけを見ても意味がないのです。そこで、過去問を元に何が必要かを考えることが必要で、どの模試がフィットするのかも考える必要があるのです。もちろん、その大学ごとの模試、いわゆる冠模試であればテストの色合いも受験者層もかなり近づくでしょうから、その点における精度は高いでしょう。(それは裏を返せば他の大学の模試の代替にはほとんどならないことを意味するわけですが。)
そういった模試の特色だとか解像度という話を込みにしていくと、本当に完全に客観的な指標というのはありえないんじゃないかな、というのが僕の考えるところです。ある基準で並べることはできるのです。ただ、その「ある基準」が本人にとって意味のあるものでなければ、将来の進路のためには実はなっていない、というのが重要な点です。そういった意味のあるものにするために、ある意味で主観的な判断をどこかに入れて評価に並べるところを決める、それが重要である意味でそここそが塾の役割なのではないでしょうか。
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