今日は、大学受験kawaiラボの河井です。昨夜(26日)にお騒がせした呟きとかその派生やかつてあったエピソードで話していたことですが、指定校推薦(現在は学校推薦型選抜、と言いますが)の話題に触れました。これらの呟きと重複するところもあるかとは思いますが(まとめながら書きますしね)、お付き合いいただければ幸いです。
現在、入試には学校推薦型選抜(いわゆる指定校推薦)、総合型選抜(いわゆるAO)、公募制推薦(学校推薦の指定校型、公募制型と分けるようですが、便宜上分けてます)、一般選抜と区分することが多いと思います。非常にラフに説明すると、
・学校推薦型選抜:学校の評定+付帯条件(資格や特定科目の成績)を基に校内選考→書類・面接などで入学決定
・総合型選抜:アドミッション・ポリシーなどにある「求める学生像」に沿った選考、面接と小論文が主
・公募制推薦:関西では早期入試・秋入試とも言える学力検査が多い。学校によって違いが大きい。
・一般選抜:基本的に学力検査
と大分できます。いわゆる科目の勉強、という点でとてもざっくりと言うと(関西の事情が多分に含まれますが)この区分で言うと学校推薦型と総合型は学校のテストとそれに伴う評定が(もちろん、活動記録などの書類作成や小論文、面接対策は必要です)、公募制推薦と一般選抜は学校/学科ごとに要求される科目の入試問題が解ければ良い、というふうに分けられます。そこからの対応法については評定にこだわるならこう、とか、ペーパーテストにこだわるなら多少の取捨選択を厭わず、だったりとか、戦術と各人(指導者かもしれません)のポリシーにもよってくるでしょう。僕自身は特にペーパーテストにこだわるなら結構非選択科目などあっさり目にして必要なものにバイアスをかける方ですが、それも賛否両論あるでしょう。
さて、今回は勉強について戦略的にすることの賛否、というよりは方式選択の難しさについて力点を置きたいと思います。
指定校推薦を軸にする難しさはその枠組みの中では第1志望を狙うことが唐突に取り上げられたりするところにあります。つまり、本人が望まない形で受験機会が(あくまでその方式では、ですが)失われてしまうわけです。また、希望者が被ると選考がありますが、そこに漏れると選択できる学校が「残り物」になってしまう場合もあります(学校によっては成績上位から残っている中で順番にあてがわれる場合もありますが)。そうなると、その年に学校から提示された選択肢の学校の中から条件を満たすものを選ぶ、という形に行き着いてしまいがちです。指定校狙いで希望する学校・学科を取ることができなかったら総合型、公募、一般へと舵を切り直すのだと、やはり入試問題対応という点では遅れが隠せない場合が多く、ちょっと厳しいことが多いです。
一方で一般狙いを軸にしていて受験科目を軸に勉強を進めているが、学校の成績も(受験に使わない科目も含めて)卒なくできる場合には、取れるとも思っていなかった指定校推薦が取れることもあります。結果論として評定が足りており、また、競争をくぐり抜けることができた場合です。ただ、この路線の場合、キャパと他の制約から受験科目以外の力の入れ具合に差が出ることが多く、その場合は純粋に力勝負に出ることになってそのパターンの方が多いように感じます。もちろん、色々なわけがあって評定が足りないだとか学校が枠を持っていないという場合には一般勝負に打って出るしかありません。
このどちらがいいかについては、今はAO(総合型選抜)や学校推薦が増えているから…という世の風潮でもなく個性と意向で決めたらいいと僕は思うわけです。また、一般を「選んで行けるところに行けばいいからそんなしんどいことをしなくても…」とか「あなたには一般なんて無理」みたいにして指定校推薦を狙うことを押し付けるのはちょっと違うと感じます。あくまでも本人の行きたい方向と正直なところ、どのタイプの勉強が合うかという個性でしょう。(まぁ僕自身は高校生のころやな自分が指定校推薦を取れる努力をしろ、と言われたら「絶対無理、そんなにコツコツとした努力は死んでも無理」と答えてたでしょうね…。きれいに揃える、ってのがどうも苦手なんですよね。ただ、これも性格と好き嫌い苦笑)
さて、指定校推薦は基本的には校内の同級生と競うことで校内の枠を取ることが非常に重要です。これについてはかつてこんなことがありました。指定校推薦で8割がた進学する私立の子の指導をしてたことがあったのですが、高2まで狙ってた第1志望が高3で指定校を外されて枠が消滅しました(大学側から外されたわけです)。このときのその学校で起こったの疑心暗鬼。日々のクラスメートとの会話が常に腹の探り合いです。人間関係のヒビが垣間見える悲惨な件です。そうでなくても指定校選びでお互いを牽制するような言動というのは他の学校を含め、やはり多くみられてしまうのです。そのような在り方で本当にいいのかどうか、というと僕には疑問が残ります。(なお、それでも僕は裏をかかせて志望分野を1本釣りさせたましたが、相当の腹芸をさせることになりました。これを良しとするのかどうかってことです。)
僕の観測範囲だと指定校推薦や総合型の受験生は継続的な取り組み、例えば毎週の課題提出をコツコツというところに強みがあると感じます。一方で一般組は自分のフィールドの科目を力づくでねじ伏せるところに強みを見せる子が多いですね。この総合力と爆発力を善し悪しで比べることは難しい。社会的にはコツコツした継続が強い方が、というご意見もいただきましたが、アカデミアにいたことのある人間としてやはり爆発力、1点に集中する力で壁を撃ち抜く才能は非常に稀有なものと思いますし、会社が望むから、で学生の質を入学時から一様にするのは高等学問と研究の場たる大学としては敗北なんじゃないかなぁと感じます。また、多様性という意味では社会活動やスポーツが活きる人の総合型、コツコツと揃えてきた人の指定校推薦、主戦場の科目に強い人の一般とバランスよく枠組みがあるのがいいんだろうな、と個人的には思います。
と呟きを整理しながらグダグダと述べてきましたが、何よりもひとりひとりが自分の希望をもって、自分に備えたい力をつけるための大学を、自分の個性に合った勉強と方式で選ばれるように取り組めればと思います。
One Comment
テストで見るべきものは順位にあらず | 羽衣・高石・浜寺の大学受験kawaiラボ 主宰 河井昌裕のブログ
[…] 先日、「入試システムの選択」でも触れましたが、定期試験というものは一定期間の学習内容の定着を測るものであり、(実力問題を混ぜたりすぐ先生もいますが)基本的には比較的狭い範囲指定をしたテストであるということです。科目によっては教科書+αの丸暗記を力づくでやって高得点を取っている場合(数学でも)もあります。また、文理選択後は同一科目でも難易度が著しく異なることもありますし、選択科目でそもそも試験の数が違うとかそういったことも起こり得ます。それでつくった順位だと、正直なところ「総論として、悪くはないね」ぐらいのことしか言えない、というのが率直な感想です。入試科目だけが全て、ではありませんが、入試どうこうの目安としては不十分であろうかと思います。 […]