こんにちは、大学受験kawaiラボの河井です。まだ大阪は30 ºC近い暑さです。そろそろ鍋物食べたい季節のはずなんですけどねぇ…と思っているうちに,学校によって前後しますが、2学期中間テストのシーズンになってしまいました。それに従って1・2年生は学校の教科書に付随するワークをゴリゴリと解いている(いた)ことかと思います。
学校のテストの用意といえば4stepを代表選手とした数学のワークです。別に数学のワークだけではないですが、なぜそうするのか、や、この話は必要か?という(教える側からは当たり前に近いけど)とてもわかりにくい、そして解答書を熟読してもその意図が伝わらず、暗記になりがちなところというのが出てきます。
例えばこんな問題。判別式を使う問題に気配り+1が必要なものです。
(例題) 方程式$$kx^2-(k-2)x+k-1=0$$の実数解の個数を調べよ。 |
解答書だとこんな感じで書いてあるかと思います。(打ち込むのがしんどくない程度に簡略化してますがご容赦を)
(解答) i) \(k=0\)のとき このとき方程式は$$2x-1=0$$になるので実数解は1個である。 ii) \(k \neq 0\)のとき この方程式の判別式を\(D\)とすると、 $$D=(k-2)^2-4k(k-1)=-3k^2+4=-3\left(k+\frac{2}{\sqrt{3}}\right)\left(k-\frac{2}{\sqrt{3}}\right)$$ したがって\(D>0\)すなわち\(-\frac{2}{\sqrt{3}}<k<0, 0<k<\frac{2}{\sqrt{3}}\)のとき実数解2個。 \(D=0\)すなわち\(k=\pm\frac{2}{\sqrt{3}}\)のとき重解となり実数解1個。 \(D<0\)すなわち\(k<-\frac{2}{\sqrt{3}}, k>\frac{2}{\sqrt{3}}\)のとき実数解なし。 以上i),ii)より \(-\frac{2}{\sqrt{3}}<k<0, 0<k<\frac{2}{\sqrt{3}}\)のとき実数解2個 \(k=0, \pm\frac{2}{\sqrt{3}}\)のとき実数解1個 \(k<-\frac{2}{\sqrt{3}}, k>\frac{2}{\sqrt{3}}\)のとき実数解0個 |
判別式は2次方程式でないと使えないわけですから、2次方程式にならない、つまり\(x^2\)の係数が0になるときは1次方程式になってしまうので別扱い、というわけなのですが,機械的に\(k=0\)はわける、としてしまうと、$$(k-1)x^2-(k-2)x+k=0$$の実数解の個数でも\(k=0\)と\(k\neq0\)で場合分けしようとしてしまったりするのです。
また、これも話題になる2次関数の解の配置の問題。調べる条件によって判別式を調べる必要のあるなしについてはよく説明をされていることだろうと思いますが、これも意外とえっとなることの多い例題です。
(例題) 2次方程式$$x^2-mx+2=0$$が\(0<x<3\)に2つの相異なる実数解をもつような\(m\)の範囲を求めよ。 |
解答はいわゆるテンプレ通りの解答ですが、このようなものになるでしょう。
(解答) \(y=x^2-mx+2\)のグラフと\(x\)軸の共有点を考える。 \(f(x)=x^2-mx+2\)とすると、 i) \(f(x)=0\)の判別式を\(D\)とすると\(D>0\) ii) \(y=f(x)\)の軸が\(0<x<3\)にある iii) \(f(0)>0\) iv) \(f(3)>0\) が成り立つ条件を求める。 i) \(D=m^2-4\cdot 1\cdot 2>0\)より\(m<-2\sqrt{2}, m>2\sqrt{2}\) ii) \(f(x)=\left( x-\frac{m}{2}\right)^2-\frac{m^2}{4}+2\)より軸の方程式は\(x=\frac{m}{2}\)なので $$0<\frac{m}{2}<3$$ よって\(0<m<6\) iii) \(f(0)=2>0\)なので全ての実数\(m\)について成り立つ。 iv) \(f(3)=9-3m+2>0\)より\(m<\frac{11}{3}\) 以上i)〜iii)より\(2\sqrt{2}<m<\frac{11}{3}\)である。 |
これで何の問題が起こるのか?と思うかもしれませんが,条件のiii)です。iii)の\(f(0)>0\)は\(m\)によらず成立するのですが、それをわざわざ言う必要があるのか?というこれもまた教える側からすると当たり前でしょ!となるけど、初めての人にはいつでも成り立って答えの数値には影響しないのに、説明が必要、というのはわかりづらいところです。
これが僕が多くの人にとって指導者の重要性を示すものだと考えているところであり、例題を見なさい、解答を読みなさいを繰り返すことの危険性を孕んでいる部分として危惧しているところです。どのように勉強を進めてもらうのか、というところではありますが、見た目の形式的なこと以上に指導者は関わり、そして正しく理解するための一助となる取り組みが必要であると、そのように大学受験kawaiラボでは考えています。
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