理系の進路選択における大学のお金事情
こんにちは、大学受験kawaiラボの河井です。国語の安田先生が進路選択についてのブログをお書きでもう全くの正論で僕が横から口を出す隙のないものなのですが、それに研究費事情と積める経験についてレスポンスしましたのでもう少し補足的にご説明をしようかと思います。
理系、その中でも僕が属していた化学分野では実験の薬品や機材に大きくお金がかかります。その金額の桁が普通の生活からはかけ離れたものになるんですね。核磁気共鳴装置(NMR)なんかは非常に汎用の機材ですが、その性能によって大きく値段が違い、卓上型のものでも800万円とか、それなりの機種で3000万以上します。日常的に使用する試薬でも1瓶うん千円するのをたくさん、とかあります。僕があまり詳しくないバイオサイエンスではDNAだとかのサンプルが結構高いと聞きます。
「いきなりえらいお金の話しはるなぁ…」と思われたかもしれません。ですが、そのお金は私立だと学費からも賄われていきますが、それで足りるわけでもありません。ましてや国公立をや、です。これは科学研究費補助金などの研究費で賄われているわけですが、その各大学がとっている金額に大きな差があります。そして、その金額差が往々にして学生時代に積める経験の差、特に卒業研究〜大学院時期の経験の差になるわけです。そのため、研究費がどれくらい潤沢な大学なのか、ということは実は進路設計と目標設定に大きく関わることなのです。
僕が経験したことのある話をしましょう。ある大型機器、僕が学生時代だと資金力のある研究室では研究室に2,3台あって自由に使えるというものでしたが、研究員時代のところでは、学科で共有として解放されているのが1台、技官の人がついて依頼測定ができるものが別にあるのですが、その装置の自由度は大きく劣るわけです。これが日々積み重なっていくと、先述した学生時代の経験の差につながってくるわけです。
僕は某ベンチャーで採用のお手伝いもしたことがありますが、自分の出身大学事情だけでなく、面接で会ういろいろな大学の学生さんのお話を聞いて、やはり事情が随分違うところがあるな、と感じた次第です。そして、それが大阪の公立大学でさえ、その差を大きく感じたわけです。こういったことが僕が「経験を学力で買う」という、象徴的なフレーズにもなるわけです。
では実際その研究費はどれくらい差異があるのか?参考HP(金額)や河合塾の記事、採択件数のランキングなどをみてもらえるとよくわかるのですが、いわゆる有名大学=偏差値が高い大学が並ぶという現実があります。もちろん、総合大学と単科大学の違いなどもあるので、簡単にいうことができるわけではありませんが、こういった面を考慮するのは大きな枠組みの目標設定をする上ではひとつのモチベーションづくりにも関わると思います。
もちろん、単純にどの分野でも偏差値と業績が完全リンクするというわけでもなく、例えば有機ELで日本一と言われるのは山形大学の城戸教授であって研究設備もピカイチだったりするわけで、自身の方向性できちんといい場所を探してもらいたいな、と思います。そして、その目標設定が現実にできるよう、学力を備えていければいいかと思います。
大学受験kawaiラボでは大学受験の専門家としての見地だけでなく、(元)サイエンティストであったことも含めて進路設計のお手伝いも行っています。お気軽にご相談ください。お問い合わせはこちらから。