Archives: 2019年12月12日

大学受験kawaiラボ誕生秘話(?)

開業の話を書くのが「爆裂個人塾長会議」で出ていたので,我らがkawaiラボがどのようにして産まれたのかについて書いてみよう。

河井は2017年春までラボからちょっと離れた鳳のとある個別指導塾で別館的な立ち位置で大学受験をしていた。ポスドク時代は正直大学生バイト以下の年収で生きていたので,ちょっとやそっとのことで辞める気もなかった。河井の受験や学習に関する考えの一端がこのブログにも出ていると思うが,そんな角の立つタイプがそこそこの大手でうまく生きられるはずもないのだが,別に給料と自分の職責に不満はなかったから,蛇蝎の如く嫌われても知ったこっちゃないと感じていた。

ブログのトップにもあるような大学受験の実績が少しずつTwitterなどを通じてしられ,出会った方々に「この仕事の仕方は会社員ではないから独立しなさい」とよく言われたものであったが,正直独立とか面倒くさいし別に経営したいわけじゃなくって,ヒラでもいいから現場で指導したいしか頭になかったので,長いこと断り続けてきたのであった。

そんなこんなしながら,日々高校生の相手をしていたわけだが,ある日ふと,「そういや僕の給料がこれぐらいと言うことは,僕の下のスタッフの給料ってこんなもんになって,じゃあ結婚のひとつもできんか…。」と思ったわけである。これじゃあいかん,しかもこの環境で大学受験で働くことは会社の辞令ひとつで吹き飛ぶ,やりたいことをさせてそれでもって結婚したい時にできるようにしないといけない,と思ったわけである。

そこで,河井に独立を促した方々に連絡を入れ,まずフリーランスとして外に出るところから始めたい,と申し出てフリー講師としての河井が始まったわけである。

フリーの仕事の中であくせくしながら,秋になった。収入は増えたが出るものも大きい。余裕があるわけではない。軍資金のストックが大きくなることはなかった。

そんなときに関西を襲ったあの台風。河井の生家は壁が3分の1ほども落下し,雨が降るとバケツ10個体制で雨漏りを受けないといけないほどの損傷を受けた。もともと築55年ほどの家,あのダメージには耐えられようもなかった。室温5ºCの下で眠るような生活を余儀なくされた。母の名義だがこのまま住み続けるのは困難と判断し,売却と新居購入に動いた。

そこで閃いたのだ。その売却と購入の差額で塾を作ろう,と。そして,元の塾を辞めたときに誓った,自分の下で働く人が信念をもって働き,かつ経済的にちゃんと報われる塾をつくるという決心を今一度,動かせるようにと。

幸い,いい買い手が見つかり,引っ越し先も見つけられた。その間にどこで塾をやるかを考えた。それで思い立ったのが今kawaiラボがある高石市羽衣の地だ。元の塾からすると本来は通塾圏になりにくいところなのだが,その塾で働き始めた1年目(非常勤時代)にこの地の子が大阪大学の看護に行ってくれた。入塾当初は理数ともちょっと大変だったのだが,最後は二次試験の化学で押し切ってくれた。それから,この街の人たちがその紹介つながりで河井の授業を受講してくれたのだった。だから,この街は直接訪れてもいないのに,河井を講師として育ててくれた街なのである。新居から50kmほど離れるこの街で塾をやっていこうと思った。

それで物件を休日に歩いて探した。ネットだとわからない物件もあるので,散歩するぐらいのつもりで歩いた。目立たせてどうのこうの,という気もなく,来てくれる(実はこの時点で申し出はあったのである)子たちの利便性を考えて,駅近にだけこだわり,フラッと歩いて見つけたのが今のラボのテナントである。最終的に問い合わせたときに,手頃な値段で大コケもしなさそうだし,駅から2分もあれば着くし,これでよかろう!で決めてしまったわけである。

そこで,僕の下で働きたいという人に連絡を取り,卒業生で付き合いの続いているのに連絡を入れ,友人で力のある国語の先生を招いてスタートさせたのが大学受験kawaiラボなのである。2月25・26日の国公立前期試験が終わって初めてまともに準備に入り,実際には3月からしかしてないけど,3月22日に開校できたのは本当に色々な方のご尽力を頂いたからだ。

kawaiラボは経営のことをよくわかる先生方からは気ちがいのような経営をしている。まず,現在,人件費率90%を誇っている。これはひとつには河井が外でも働いて収入を得られるから自分の取り分を考える必要がないということにもよるのだが,成績と結果にコミットするためにできうる限りの人材をかき集めたからだ。よく,規模が伴えば人を採ろうという人が多いが,そんな日はいつ来るのか?規模が伴わなくても人を採り,その力を借りて結果を出す方が実際にその経費に見合う規模になるのではないか?そう考えているからだ。前職で思い知ったのは実績が出る大学受験には人が集まりうるということ。そしてそうするといい子たちが自然と寄ってくる循環に入っていくのをその目で見たからだ。だから,その一歩目を記すために何が何でもその結果に向かうことができるメンバーを集めたかった。

もう1つ大事にしているものがある。それは「入ってくることは原則として断らない」こと。どこまでできるかわからないが,入ってくることは全てご縁,その流れは運気の流れになるからだ。理系のくせに縁や運気なんて,と思われるかもしれないが,そう行ったものは確実にある。運気の流れを決して外してはいけない。今のkawaiラボは力も出していると思うがそれ以上に運気で成り立ち前進している。その流れは決して手放したくない。

経営方針は「感と嗅覚,流れと運気,流れを汲み運気を引き寄せる」だし,経営理念は「kawaiファミリーファースト」,つまり一門と仲間たちにとって最良の選択であり続けたい,それだけを決めてこれからも前進していく。


お悩み相談回答12/8②–「血が邪魔をする」って?

爆裂個人塾長座談会閲覧所」に届いた次の質問について,大学受験の専門家からお答えさせて頂きます。

<ご相談内容>

高校生相手に、あの手この手で
子育てと戦うとは?
手法を変えてみても聞く耳ない?
みたいで全スルーされます。
真島先生のように思ってるけど
言わないでおくよ!は、なかなか
難しいです。
塾の役割⁉️部分も家庭である場合、
どうしても口が出てしまいます。
勉強だけ!と出来ないならば
言い訳しなくてもいいのにと思って
いるのにテスト結果に対し、
こうだったら点数とれた とか
ここが出るとは とか
ど忘れしてて書けなかった とか
自分は悪くないという言い方
聞きたくないので、こうしたら?
ああしたら?言ってしまいます。
それに対して、ため息つかれたり
すると 母業 向いてないかな?
と自信なくなります。凹みます。

 

<河井の解答>

多分,お母さまがお子さまに言われているのはまごうことなき正論なんだと思います。ところがこの正論,以外に文字通りに届かない不思議があるんですよね。

ところがこれを塾の先生や学校の先生が同じことを言うと,案外素直に聞き入れてくれたりします。これは実の親御さんからすると,ちょっとムッとするところではないでしょうか。

実はこういうことは結構よくあることなんです。これを僕は「血が邪魔をする」と呼んでいます。大層に言ってますが,ただただ親子間では思った通りに話が伝わらない,ということなのですが,それを面談でお話するとき用に格好つけて言ってるわけです。

ではなぜ,塾の先生などが話すとうまく伝わるのか,というと,それはいい距離感でいながら実は第3者でしかないから,と考えています。意外と第3者の位置付けと認識している人の言うことはフラットな感情で聞くことができます。少し反抗期的要素が入る親子間と一番違うところです。そして,日頃指導してくれている先生に対して,それ相応の敬意を抱いているので,より効果的に言葉が届いているのです。

この事実を踏まえて,血が邪魔をするという現実に対し,親側として第3者を用意するところがあります。そのためであってもいいので,塾を活用するということを考えてもいいかもしれません。しっかりと連携し,また,お子さまに直言してくれるような塾の先生を見つけ,協力してもらえるといいかもしれません。少人数の塾だと,そういう先生は思っているよりたくさんいると思いますよ。その上,専門的な見地から今の困難を脱却するヒントももらえると思います。


お悩み相談回答12/8–文理選択と学部選択

爆裂個人塾長座談会閲覧所」に届いた次の質問について,大学受験の専門家からお答えさせて頂きます。

<ご質問内容>

子供の適性、進路について

子供の文系、理系コースの判断はどこ(理系科目が好き?)で、いつの時期に(高2に聞かれますが)見定めるのが適切でしょうか?

大学の学部の選択はどのようにアドバイスしたら、良いのでしょうか?
その先の就職に結びつきそうな学部か本人が学びたい学問のある学部か?
漠然と大学に行って考えたい子もいると思います。

それとも偏差値や大学のイメージで考えるのか?
例えば、早稲田志望だが、教育学部しか受からず、教育は興味ないけど行くことしたなど。
また、どっちつかずの場合、男子はとりあえず理系選択へ導く母親(古くはたけし母)も多いかと思います。
リベラルアーツを学んで、大学に入ってから専門をという学校もあるかと思います。
最近の傾向として、データサイエンス系や国際系の学部も増えております。
時代背景によって、選択が変わってくるかと思いますが、少し前に議論されていましたが、先生方はどうお考えですか?

 

<河井の解答>

文系と理系ですね,これ,かなり悩ましいのです。高2で選択だと猶予があるのですが,結構な学校が高1冬に選択を迫ってきます。時間ないよね,といいつつもやむを得ない部分があります。英語は共通としても,文系の特に古典社会,理系の数学理科の専門性を高めるカリキュラムを実施するのに必要な時間数を考えると,それもやむを得ないか…,となるところでもあります。

となると,どうしても考える時間やオープンキャンパスや進路イベントに足を運ぶ時間と機会が少なくなり,そうすると数学の出来不出来だけで文理を決めてしまって,それで決めた文理の枠組みの中で学校を探そうとしてしまいます。でもそれが本来あるべき進路指導とは違う,そんな進路指導なら辞めてしまえ,というのが以前のブログでも主張したところであります。

僕が考える進路指導はどんな職業ややってみたいこと,学んでみたいことから逆算していくのが理想です。ではどの学部がいいね,という形で絞り込めるのがいい。ただ,文理選択は非常に早いので,憧れのリストアップの共通項というかたちで決めて,頑張りながら絞り込んでいくというのが現実的だと思います。そこで,将来に絶対に必要な苦手科目がある,というなら他の科目と合わせてどこまで克服すればいいのか,それを一緒に測って並走していけばいいかと思います。

このように進路選択を考えていくと,実は中3の高校入試が終わった時点ですでに進路選択について考えていかないといけません。進路選択がそばにいると,理想の実現のためにより高校生活を頑張れるのではないかな,と思いますので,そのような働きかけが重要だと思います。

もっと色々お話しさせて頂いたり,場合によっては進路座談会なども承りますので,ご希望があれば

mail@kawai-lab.co.jp

にメールをいただくか,お問い合わせフォームからご連絡くださいませ。


現役合格率90%越えの欺瞞

今日はちょっとスパイシーなお話です。

高校受験の進学先を決める頃ですが、特に私立で現役合格率の高さを謳っているところがあります。ここに行かせてやれば先々安心ね!

本当ですか?本当にいいんですか?

この90%を作るためにどれだけの意に沿わない進学が受験があふれているか、普通に暮らしていて想像もつかないかもしれません。そのひどいケースをちょっと紹介します。

まず、思い通りに受験することを阻まれます。成績がよく、コース別で上のコースにでもいれば指定校の管理から奪われていたりします。「キミたちは一般で通れるでしょ?通れない下のコースに譲りなさい。」と。それでいてリスクがあると下げさせて、とにかく現役にこだわる。国公立志望でセンターが足りなかったら、親元離れて考えたこともないところへの進学を極端に推す。学校の都合が先。そんなことが一部にはまかり通っています。

もちろん、そうじゃないやり方で高い結果を出している学校もあります。ですが、そういう不自由な中で受験をやらざるを得ない、ということもあるということを知っておいて欲しいのです。過去、そういう事案で本人が学校と大げんかした話もいくつもありました。そういう道をこれからの人に歩んでは欲しくないのです。

だからツテでもいいのでよく学校の事情を聞いて、その上で信頼できる学校を選んで欲しいな、と思います。入ってから、「こんなはずじゃなかった…」だけは避けられますように、じっくりと情報収集してくださいね。

少し昔のキズを思い出したので、チクリと。


お悩み相談回答12/3②–芸大志望高3の学習

爆裂個人塾長座談会閲覧所」に届いた次の質問について,大学受験の専門家からお答えさせて頂きます。

<ご相談内容>

真島先生のブログを楽しく拝見させていただいております。明快な回答で、大変参考になります。

3人の子供の母親です。
私自身産休・育休をとってずっと正社員として働いてきたため、勉強は塾まかせで、ブログを見て大変反省しました。
大学生の娘は指定校でmarch、男子高校生1人は早慶系属校ですが、もう1人の高3男子が困ったことになってます。頭の回転が早く(保育園時ポケモン怪獣を全て言えました)勉強が出来るのではと思い、早めに塾に入れたにもかかわらず、偏差値50台の私立高校で赤点を取りまくっております。(河合塾模試偏差値30台)
本人は美大に行きたいと考えていますが、美術の他に現国と英語があります。いい加減な勉強しかしてこなかったため、基本も身についていないと思います。現在、塾は行っておりません。ゲームとスマホに大半の時間を費やしました。ここまでくると、本人の人生だからとほっておこうと思いましたが、あと2か月親として何が出来るのか、受からなけば、浪人という選択肢もあるのか、専門学校も視野に入れるのか、美大はお金もかかります。ノートは綺麗。小学校から高校現在まで、ほぼ皆勤です。サッカー、ハンドボール、ギターもやってました。美術は高校の美術の先生に勧誘され、美術部に入り、学校の美術関係の活動をしてます。技術的な面はその先生に見ていただいてます。

 

<河井の回答>

ちょっと心配な状況ではありますね。ただ,芸大は実技で決まる部分もありますので,美術の先生によく状況を聞きながら,対策をしてもらえればと思います。おそらく7〜8割は実技の対策に振らないといけなくなると思います。学校によりますが,実技の成績次第というところが色濃く出やすいです。したがって,先述のように実技対策優先での受験生生活になると思います。

ではその中でどのようなことに取り組むか?

英語でしたらまず英単語。システム英単語などでセンターレベルまでの単語に集中しましょう。英文法も入門英文法問題精講など分厚過ぎないものを,長文も解説が親切な入門英語長文問題精講など,基礎レベルの充実を図りましょう。

現代文は現代文基礎問題精講全レベル問題集レベル1の基礎的な問題集を確実に解けるようにしてもらえればと思います。また,漢字や熟語の勉強もしておいてください。

最後に,これが一番大事なことなのかもしれませんが,これまであまり勉強に熱が入らなかったようですが,本当に自分のやりたいことのためには頑張ると思います。その方向性が芸術の方に強く出ているだけで,その芸術に進むため,となったら最後の馬力を出してくれると思います。周りの家族がそれを信じて後押ししてあげてください。


お悩み相談回答12/3–工業高校高1の塾選び

爆裂個人塾長座談会閲覧所」に届いた次の質問について,大学受験の専門家からお答えさせて頂きます。

<ご相談内容>

いつも良いお話し、楽しいお話し、マニアックなお話しをありがとうございます!

爆裂塾長マップを拝見しましたが、通える距離に爆裂塾長さんは居ませんでした。
そこで、工業高校に通う高1の息子の塾選びについて相談させて下さい。

息子はチャレンジ受験で高校に合格したので、授業についていけずテストは赤点が数教科あります。
特に物理が苦手です。
工業大学か高校内に有る専攻科に進学したいので塾に行きたいと言うのですが、中学校区には駿台予備校しか有りません。

通学沿線に、東進衛星予備校・秀英予備校・京進スクールワン・野田塾内に代ゼミサテライン予備校・ビリギャルの坪田塾(キャンセル待ちらしい)等が有ります。
今度は多すぎて、何処に体験に行けば良いのか悩みます。
学区外なので口コミはインターネットのみです。
息子の性格は、分からない事をガンガン聞けるタイプではなく、存在を消す大人しいタイプです(汗)

塾や予備校のホームページを見ては悩んで放置していましたが、このまま赤点を取り続けると進学どころか進級出来ないので焦っています。

地道に全校体験させるのが良いですか?

どなたか、答えて頂けると嬉しいです。

 

<河井の回答>

ご相談内容からすると,学校の数学や物理に対応してもらえるか,定期試験対策をしてもらえるか,ということになりますね。

そうであるならば,映像授業で「わからなかったら繰り返し見なさい」だけに終始しがちになることや,決まったカリキュラムで進む集団授業だと,うまくフィットしない可能性は高くなります。

学校が工業高校ということもあり,よくある普通科のカリキュラムと少し変わってくると思います。そのテスト対応,ということになると,個別指導の形が一番フィットする可能性があると思います。体験授業はその後,受け持つ予定の先生にしてもらい,テストに対する用意の仕方のプランを聞いた上で選択してもらうことが大切だと思います。

学校の成績が安定化したのち,受験対策,となると場合によっては必要な塾・予備校のスキルが異なることもあり得ます。その際はキチッとその塾とお話しされて,必要な選択を考えて頂ければと思います。


お悩み相談回答12/2–部屋での勉強

爆裂個人塾長座談会閲覧所」に届いた次の質問について,大学受験の専門家からお答えさせて頂きます。

<ご質問内容(引用)>
高校生。自分の部屋で勉強してますが集中力不足で寝てたりします。そんな時を目撃した場合、
親として何か言うとするならば
何と言うのがベストですか???
何も言わず見て見ぬふりで良いので
しょうか?別の場所、例えば放課後の学校や図書館、リビングでも~
と提案しますが自分の部屋ですると言います。

 

<河井の回答>

よくあるといえばよくあるお話です。本人はやっていないこともないでしょうけど,おそらく結果としてはまだ不満足,というところだと思います。

本人は部屋でやりたい,それは快適だからですね。その気持ちはとてもわかります。慣れた部屋で勉強したいですね。僕もそうです。デスクワークのいくらかとか解答作成とか自室でしたいと思うんです。

でも,ダメですねぇ。

快適な自宅では自分のスイッチが切れてしまうんですよね。だから,思ったようには勉強できません。大人も一緒。なぜスタバやコメダで仕事や勉強したりするのか?その答えがそのままお子さんに問いかける言葉になります。

人は想像している以上に「場所で意識が支配されるいきもの」です。家に帰っただけでスイッチが切れてしまう。そういうことなんですね。だから,場所で自分のやることをコントロールするのがかなりやりやすいです。

そのために有料の自習室や1科目だけでも受講して塾・予備校の自習室を利用するというのが一番手っ取り早い解決策になります。なので,「家以外で一番気が進みそうなところはどこがいい?」と聞いてみてあげてください。


ガチンコ小論文−2012年大阪教育大後期より

今日は文系の小論文を書いてみました。ちょっとつかみどころのないテーマなので,問題設定をしながら書いていたら800字に来ちゃった,という感が拭えないのでお蔵入りしたいぐらいなんですが…。せっかく書いたし思い切って出してみよう。

<お題>
芸術には規則がなくてもよいか。(800字程度,大阪教育大学2012後期)

<河井の解答案>
 昨今,あいちトリエンナーレで問題となっている芸術の自由と公益の対立があるが,そもそも芸術に対する規制や自由とは一体どのように規定されるのか。まずこれを規定していかなければ芸術の規則の論は進まない。
 では芸術に対する規制や自由とは何であろうか。それは絵画や書道の各々の分野といった具体的な表現技法ではなく,芸術と社会の関わりにおける受容の観点から考える。芸術に対する受容は主にその作品の意匠と,作品が示すメッセージ性から受ける印象によって規定される。したがって,作品が提出されるとそれはその提出された先でオーディエンスによって鑑賞され,作品が批評される。その集団でなされる批評の集合体がその集団におけるその作品の受容と不受容が生じる。
 前段,私は単に集団と表現した。その集団が例えば一定の嗜好を持つ極めてクローズドな集まりであるとき,過激な表現であろうが反社会的な表現であろうがそれが戯れ,遊びとして受け入れられうる。そのような作品をよりオープンな集団に提示すると,その集団では不受容になることが大いにあり得る。この集団の性質による受容と不受容の合意の差異が生じることに対して,ゾーニングという形での障壁を作ることは必要である。芸術の自由を保障する一方,ゾーニングによる規制をするのは,むしろ規則がその自由を担保できると考えるからである。それはある集団に不受容になる作品を提示することで生じる反発を避けられるからである。
 作品の不受容は単純に人の集団の性質による不受容の場合もあるが,集団が形成される場を提供する立場にも依存する。例えば行政が提供する場においては,その公共性から通常の受容よりも高い公益性や道徳性が求められることになったとしてもなんら不思議ではない。重要なのはその場が求める質をきちんと説明し,場に集う集団との受容,不受容による衝突を避けることにある。それは場を形成する側の大きな責任である。このようなすり合わせによる規則こそが返って芸術の自由を担保するものである。

 

表現が提出された先で受け入れられるのか否か,それはクローズドな集団とオープンな集団で異なってくるし,また,その集団の成立背景にも依存するだろう,そこで受け入れられない芸術の自由を担保するためには,むしろゾーニングなどでその受け入れを擦り合わせよう,という論にしました。

ちょっと思っていることより尻切れとんぼ感が出てしまうのは,終盤字数足りん!となったことは正直に告白します。

今回のお題は非常に設定がアバウトです。そもそも芸術と規則という,素直に考えて最も結びつかない言葉が並べられているわけです。どうやっても,芸術への規則とは何かについて定義づけをする必要があります。今回はその規則とはその集団に受け入れられること,そのための制限と設定しました。これは単一の解ではなく,解答者自身が定義し,その定義に沿って論ずるところです。

おそらく,入試としては稚拙はともかく,自分なりに規則を定義づけし,その定義に沿って意見を叙述できれば合格点に達するのかな…,と考えています。大きなお題に対して問題設計をできるか否か,を見ているんでしょうね。

にしても今回は難しかった…。うかつにノリで「僕も書きます!」なんていうもんじゃないなぁ…。(ノリと勢い,伊達と酔狂とか言ってる報い,笑)


数学で文理を決めていい?いいわけないでしょ!

「キミ、数学できないから文系にしなさい」

とか、

「キミは数学得意だから理系だね!」

こういうのよく聞きませんか?文系理系っていろんな要素があるのに、ただ数学だけで文理を決めようととする人がいっぱいいますよね。当の本人がその気持ちになるのはまぁわからなくもない。数学が大きな壁になるから。でも学校や塾の先生がこれを言い出すから始末に負えない。そんなときに言うことはひとつで、

「その程度の了見で進路指導するなら今すぐ辞めてしまえ」

です。そもそもなぜ1科目の事情で決めつけなきゃいけないのか?数学は付き合い方がイマイチで壁にぶつかってるけど理科は抜群にできるとか、そういうことは一切抜きに数学だけで決めようとするの、おかしくないか?

僕から単一科目のプロフェッショナルを目指すのではなく、ジェネラリストを目指す(各科目でプロフェッショナルに負けないつもりですが)のはその辺りのことが理由にあるのです。やりたいことをやる、そのためにここに行きたい、じゃあこれで何点こっちの負荷を高めにしててん、みたいにコーディネートしていきたいんですよね。数学の適切な付き合い方を考え数学以外を強めるとか、その逆に数学特化するとか、その方針って本当に千差万別でそれこそ人の個性、性格、思考法を踏まえてでしかできない。そういう人間を観る目に科目知識を持たなきゃいけない。そうでないと偏差値で切り分けられるだけの世の進路指導を上回らない(偏差値は他者との相対比較の重要な指標ですが、それ以外の要素があるのですよ)。これができることは地域の塾としては当然の義務だと大学受験kawaiラボでは考えています。

本当にやりたいこと、なりたい自分を見定めて、そのためにこうなりたい、その想いを見せてください。それさえあれば、そこに架けるべき橋は一緒にデザインしましょう。それがトータルプロデュースを掲げる大学受験kawaiラボの進路指導です。


センタープレテストを受けて

昨日は河合塾のセンタープレテストでした。kawaiラボでも公募推薦が重なっている、学校が駿台模試を設定している以外のメンバーは受験しています。この後、自己採点結果を見てお話することになるかな。(まだ外での用務中なので)

そこで話すことと同じなのですが、

センターまでの2ヶ月弱でどこが課題なのか?その課題の中で最も割が良いことは何か?

をちゃんと考えてもらいたい。課題をクリアするのはいいのですが、その課題をクリアしたら点数が何点改善されるのか?それが一番上積みが大きいのか?を考えて、そこを優先的にやらないと意味がない。だって後2ヶ月もないのだから、自分の利益を最大にしなきゃいけない。目指すところが違えば傾斜もボーダーも違う。ひとりひとりの答えは違わなければならない。そこに各自の答えや仮説をもって臨んでいかないと本番のセンターでの結果は期待できないので、これは心しておいてほしい。

余談だがセンター模試では私立の子のため以外には偏差値なんて見ない。まぁチラ見くらいでこれを出来の指標にしない。センターはあくまでもパーセントを狙うテスト。生点で取れてなんぼ、傾斜のパーセントがあってなんぼ、なのだ。偏差値よりも到達パーセントにしか関心はない。個人の特性と志望校の傾斜の兼ね合い、これだけを考え、その達成だけに心を砕く、それだけに一意専心してもらいたい。

ここまで来たのだ、後は結果にすることだけ考えて詰めをやっていこう。